夫を亡くした母親の安藤明美(あけみ)さんは、深い悲しみに暮れる間もなく、女手一つで幼い姉弟を育てる重責を担うことになりました。当時専業主婦だった明美さんは、生活を維持しながら娘の競技生活を継続させるため、寝る間を惜しんで奔走します。
トップレベルのフィギュアスケート選手を育成するには、一般家庭の家計をはるかに超える莫大な費用がかかります。母子家庭となった安藤家がどのようにしてこの経済的ハードルをクリアしたのか、その内訳と実態を検証します。
実家はお金持ち?祖父が経営する老舗喫茶店と一族のバックアップ
表に示した通り、ジュニアからシニアへとステップアップする過程では年間1,000万円前後の活動資金が不可避となります。これを母子家庭の母親単独の収入で賄うことは極めて困難です。
ここで重要な役割を果たしたのが、名古屋市内で手広く商売を行っていた実家の祖父でした。安藤家の実家は地元で古くから親しまれる老舗喫茶店などを経営する資産家であり、一族を挙げて美姫さんの才能を経済面から全面的にバックアップしました。
母親の明美さんも家業を手伝いながら、大会の送迎、マッサージ、食事管理、メディア対応までを一手に引き受け、私生活のすべてを娘のスケートに捧げました。「母子家庭だから夢を諦めさせたくない」という母親の気迫と、実家の強固な財政基盤が合致したことで、世界の頂点へと登り詰めるロードマップが完成したのです。