ストーンズの光と影を象徴する悲劇が、創設者ブライアン・ジョーンズの死です。音楽的主導権をミックとキースのソングライティングコンビに奪われ、深刻な薬物依存と精神的疲弊に陥ったブライアンは、1969年6月にバンドから事実上解雇されました。そのわずか1か月後の1969年7月3日未明、自宅であったコッチフォード・ファームのプール底で冷たくなっている彼が発見されたのです。
当時、警察と検視官が下した公式判断は「不運な事故死(過失による溺死)」でした。アルコールと睡眠薬の影響による心臓麻痺が直接原因と記録されています。しかし、現場にいた住宅改修業者との金銭トラブルや他殺説、関係者の証言の食い違いなどから、ブライアン・ジョーンズ死亡の真相を巡る陰謀論は半世紀以上にわたって燻り続けました。
近年の再捜査要求やドキュメンタリー取材の調査データを総合すると、決定的な事件性の証拠は見つかっておらず、過度の薬物摂取による偶発的な悲劇であったという見解が有力です。しかし、類まれな美貌と音楽的センスを持ちながら、自ら結成したバンドから追放されて命を落としたというドラマ性は、ストーンズという存在に永遠のダークな神秘性を刻み込むことになりました。