十八代目勘三郎が情熱を注いだ「平成中村座」。江戸時代の芝居小屋を現代に蘇らせるという破天荒な試みは、彼の死後も途切れることなく続いている。しかし、その継続は決して平坦な道のりではなかった。資金繰りや場所の確保、そして何より「勘三郎不在」の穴をどう埋めるかというプレッシャーが重くのしかかった。
好江さんは、夫が遺したこの夢を絶対に潰さないと誓った。彼女は自ら関係各所へ足を運び、頭を下げ、協力を仰いだ。「主人がやりたかったのは、お祭り騒ぎじゃない。お客様と役者が一つになる奇跡の空間を作ること」。その言葉通り、2026年の公演でも、平成中村座は満員の観客で沸き返っている。彼女の執念が、奇跡を日常に変えたのだ。