尾美としのりを語る上で避けて通れないのが、映画界の巨匠・大林宣彦監督との深い絆だ。『転校生』に続き、『時をかける少女』や『さびしんぼう』といった名作にも出演し、大林ワールドのミューズならぬ「主役」としてスクリーンを彩った。尾道の坂道や海を背景に走る彼の姿は、ノスタルジーという言葉だけでは片付けられない、普遍的な青春の痛みを体現していた。
大林監督は彼のことを「カメラが回っていなくても、そこにいるだけで映画になる男」と評していたという。ただ佇んでいるだけで、その場の空気を映画の温度に変えてしまう。そんな稀有な才能が、尾道という美しい舞台で花開いたのだ。