多くのアニメや特撮作品ではキャスト名が公表されるのが一般的ですが、なぜガチャピンの声優は頑なに非公表とされているのでしょうか。その根底には、キャラクタービジネスにおける徹底した「世界観の保護」があります。
ガチャピンには明確な公式プロフィールが存在します。「南の島生まれの恐竜の男の子」「年齢設定は永遠の5歳」という設定です。テレビ画面の中で子どもたちに語りかけ、時に過酷なスポーツに挑むガチャピンは、作り物ではなく「実在する一人の友達」でなければならないというのが、制作サイドが一貫して守り抜いてきた哲学です。
もしエンドロールに声優の名前を大々的にクレジットしてしまうと、「大人の声優が声を当てている架空の存在」というメタ構造が強調され、子どもたちの夢を損なう恐れがあります。また、着ぐるみの中に人間が入っていることを示唆する「中の人」という概念自体を否定し、イベントやロケ現場でもガチャピン自身が意思を持って動いているという演出を徹底しています。この厳格なブランディングこそが、50年以上にわたりキャラクターの価値を落とさず、老若男女から愛され続ける最大の秘訣です。