テレビ番組や劇場の舞台上で見せていた「テストのマークシートを全部黒く塗りつぶしてしまう」「先輩のネクタイを強く引っ張る」といった一見すると破天荒な奇行。これらは単なるバラエティ向けのキャラクターではなく、岩橋良昌氏が幼少期から向き合ってきた深刻な精神医学的症状に起因しています。
岩橋氏が自身の病名を公表したのは、メディア出演や自著、YouTube等を通じてでした。医師から診断を受けた病名として強迫性障害を明かしており、同時に本人が自覚する症状としてチック症やトゥレット症候群に見られる運動チック・音声チックの特徴が一致していることを語っています。
強迫性障害とは、「頭から不合理な不安や観念(強迫観念)が離れず、それを打ち消すために特定の行動(強迫行為)を繰り返さずにはいられない」精神疾患です。岩橋氏の場合、脳内で「絶対にこれをやってはいけない」と強く意識すればするほど、その禁止事項を実行しないと息苦しさや耐え難い不安に襲われ、脳内の緊張を緩和するために衝動的行動を取ってしまうという過酷な悪循環に長年苦しめられてきました。
当時のインタビューや手記において、氏は次のように述懐しています。
「小学校のテスト中、答案用紙を破いてはいけないと思えば思うほど手が震え、破らずにはいられなくなる。自分でも狂っているのかと恐怖だった」
芸人になってからは、相方の兼光タカシ氏をはじめとする周囲の芸人たちがそれを「笑い」へと昇華させることで救われていた側面もありましたが、舞台裏では常に自らの衝動を制御するための極限のエネルギーを消耗し続けていました。