「ファンが回る音は聞こえるのに、なぜか冷風が出てこない」という現象の裏側では、目に見えない庫内深部で何が起きているのでしょうか。修理現場の分解調査から得られたリアルなメカニズムを解説します。
冷蔵庫の心臓部である冷凍室の奥には、マイナス20度以下まで冷やされる「エバポレーター(冷却器)」が設置されています。通常、エバポレーターには空気中の水分が付着して霜が成長しますが、マイコンが感知して数時間に一度「霜取りヒーター」に通電し、自動で霜を溶かして蒸発皿へ流します。
しかし、霜取りセンサーの異常やヒーター断線が起きると、霜が溶かされずに巨大な氷の塊へと肥大化します。その結果、冷蔵室へと続く細い送風ダクトを氷が完全に閉塞してしまい、「冷凍室は凍っているのに、冷蔵室には1ミリも冷気が届かない」という決定的な機能不全が生じるのです。
一方で、冷媒を循環させる冷蔵庫のコンプレッサー故障の場合はさらに深刻です。背面下部にあるモーターが「カチッ、ジー…カチッ」と異音を繰り返して起動に失敗している場合、圧縮機の焼き付きや始動リレーのパンクが発生しています。この状態では冷媒が循環しないため、庫内全体の温度が室温まで上昇してしまいます。