ネット上で「庭にマムシが出た」と写真付きで拡散されている投稿の約半数は、専門家が見るとアオダイショウの幼蛇です。ここには自然界の巧みな生存戦略が隠されています。
成体のアオダイショウは青緑色〜オリーブ色で2m近くまで育ちますが、幼蛇の時期(体長30〜60cm)は茶褐色で、背中にマムシそっくりの斑紋を持っています。これは外敵から身を守るために毒蛇マムシの姿を真似る「ベイツ型擬態」と考えられています。さらにアオダイショウの幼蛇は、危険を感じると尾を細かく振って威嚇音を立てたり、頭部を押しつぶして三角形に見せかけたりする習性があります。
この威嚇行動を見て「マムシだ」と誤認し、パニックになって棒で叩き殺そうとするケースが後を絶ちません。無毒の蛇を無理に駆除しようとして手を伸ばし、結果的に噛みつかれて雑菌感染を起こすトラブルも報告されています。蛇の種類が即座に特定できない場合は、「刺激を与えずにそっとしておく」ことが最も安全な防衛策です。