SNS上では「皮が激しく剥けてこそ美肌になれる」「A反応が出ないのはレチノールの効果がない証拠」といった過激な言説が散見されますが、これは皮膚科学的に完全な誤解です。
A反応が出ない理由には、以下の3つのポジティブな要因があります。
第一に、もともと肌内部に十分なビタミンA(パルミチン酸レチノール等)の貯蓄がある場合です。普段からバランスの良い食生活を送っていたり、日常的にビタミンA誘導体を含む化粧品を使用していた肌は受容体が整っているため、ターンオーバーの急激な破綻が起きません。
第二に、角層のバリア機能が極めて強固であるケースです。セラミドや皮脂膜の保護膜がしっかり機能していれば、急激な水分蒸散や知覚過敏が防がれ、炎症を表面化させずにレチノイドの恩恵を受けることができます。
第三に、カプセル化技術や徐放性処方が施された最新のレチノール製品を使用している場合です。成分を微小なカプセルに内包し、角層深部でじっくり放出させる技術により、表面への刺激を最小限に抑えつつ線維芽細胞へアプローチする設計が進んでいます。
「No Pain, No Gain(痛みがなければ効果もない)」という思い込みで無理に高濃度製品へ飛びつき、肌を破壊してしまっては本末転倒です。皮剥けを起こさずとも、線維芽細胞の活性化やコラーゲン産生の促進は静かに進行しています。