キャンプ場で頻発するもう一つのトラブルが、「強風の煽りを受けてプラスチック製自在金具が割れた」「細いガイロープに対して金具の摩擦が足りず、徐々にテンションが抜けてタープが垂れ下がってきた」というアクシデントです。こうしたギアトラブルに直面した際、キャンパーの生存能力を決定づけるのが自在結び(トートラインヒッチ)をはじめとする「自在金具なし結び方」の技術です。
自在結びロープワークは、ロープ自身の摩擦力(フリクション)を利用して長さをスライド調節する伝統的ノットです。ペグにロープを回した後、戻りのロープ本線に対して内側に2回巻きつけ、さらに外側へ1回巻き込んで引き締めます。ピンと張った状態では荷重がかかる方向に繊維が強くロックされ滑りませんが、結び目自体を手で掴んでスライドさせると、驚くほど軽やかにガイロープ長さ調整方法として機能します。ハピキャンなどのアウトドアメディアでも「もやい結びと自在結びの2つさえ身につければ、道具に頼らずあらゆる天候に対応できる」と強調されている通り、基本にして究極のセーフティネットです。
さらに、大型ヘキサタープのメインポールや、風を受ける面積が広い大型レクタタープをガチガチに張り上げたい場面で威力を発揮するのがトラッカーズヒッチ張り方です。これはトラックの荷台固定にも用いられる工学的ロープワークで、ロープの中間に作ったループを「動滑車」のように機能させます。
ペグに回したロープ先端をこのループに通して折り返し、手前に力強く引き込むことで、人力の2倍から3倍に相当するテンションを瞬時に掛けることができます。腕力に自信がない方でも、タープの幕体が太鼓の皮のようにピンと張るまで締め上げることが可能になり、風による揺れを物理限界まで抑え込むことができます。