老舗閉店ラッシュの頂点として日本中に衝撃を与えたのが、2022年6月に横浜地裁から破産手続き開始決定を受けた「聘珍樓 横浜本店」(運営会社:株式会社聘珍樓)の事例です。1884年(明治17年)創業、現存する日本最古の中華料理店として燦然たるステータスを誇り、食通や政財界の重鎮に愛された殿堂の終焉は、街の空気を一変させました。
信用調査機関の公表データによると、ピーク時には数十億円に達していた売上高が激減し、多重債務と固定資産の維持費が重くのしかかったことが破産の直接的な要因とされています。店頭に貼られた「移転準備のための閉店」という告知から一転、破産管財人の管理下に置かれたニュースは、従業員や取引先のみならず、長年の常連客に深いショックを与えました。現在も百貨店売店や別法人による外部店舗の一部は営業を継続していますが、横浜中華街の象徴であった「中華街大通りの本店」は二度と戻らない現実を突きつけています。
姿を消したのは聘珍樓だけではありません。広東料理の名店として知られた「恵福楼」、庶民的な香港粥と牛モツ皿で朝から行列が絶えなかった「安記」(一時休業・移転模索などの混乱を経て幕引き)、さらには半世紀以上の歴史を誇った老舗中華菓子店や家庭的な上海料理店など、確固たる個性を持っていた名店が次々と姿を消しました。