最高裁判決が確定した2022年7月、奇しくも同じ月に発生したのが「安倍晋三元首相銃撃事件」でした。自らの最大の庇護者であり、言論活動の主軸であった安倍氏の喪失は、山口氏のジャーナリズム活動に新たな転換点をもたらします。
事件後、山口氏は保守系論壇誌『月刊Hanada』において、安倍氏銃撃事件の背後関係を追究する独自連載をスタートさせました。そこで展開されたのは、奈良県警の捜査発表や司法解剖の結果に対する激しい異議申し立てでした。山口氏は「山上被告が放った手製の散弾銃の弾道と、安倍元首相の首の銃創・心臓の損傷部位の辻褄が合わない」「ビル屋上からの別狙撃手(スナイパー)が存在した可能性を排除できない」「奈良県立医科大学附属病院での救命医療における説明の変遷に疑念がある」といった仮説を次々と提示しました。
この一連の検証記事は、ネット上の保守層や熱狂的な安倍支持者の間で瞬く間に拡散され、大きな反響を呼びました。SNSや掲示板では「大手メディアが報じない闇に切り込んでいる」「安倍さんへの忠義を貫いている」と称賛する声が上がる一方、法医学の専門家や警察関係者からは厳しい反論が相次ぎました。現場の鑑識結果、複数台のスマートフォンで撮影された映像分析、弾道の力学的再現性といった科学的証拠を無視した「陰謀論の流布」であるという批判です。独自調査を貫く姿勢と、客観的証拠に基づかない言説の危うさという二面性が、現場検証を通じて浮き彫りになっています。