90年代前半のシアトルで起きたグランジ・ムーブメント。その中心にいたカート・コバーンの死は、上杉の音楽人生にも決定的な影響を与えた。きらびやかな商業主義への反発と、自己の破壊衝動。上杉が目指したオルタナティブな姿勢は、当時の日本のメジャーシーンにおいては早すぎたのかもしれない。
しかし、多様な音楽がフラットに聴かれるようになった現代において、彼の当時の選択は「極めて誠実で先駆的だった」と再評価されている。作られた偶像であることを拒否し、傷だらけになりながらも己の歌を歌おうとした彼の姿勢は、今のインディーズシーンのアーティストたちにも多大なインスピレーションを与え続けている。