井脇氏の代名詞となったフレーズ「やる気!元気!いわき!」は、単なる選挙用の語呂合わせではありません。そのルーツは、彼女が1970年代から主宰していた青少年育成事業「少年の船」における実践指導スローガンに遡ります。
全国から集まった子どもたちに対し、規律正しい集団生活と洋上研修を通じて自己肯定感を植え付けるため、「どんな困難に直面しても、やる気と元気さえあれば道は開ける」と繰り返し説いた指導訓が、のちに彼女自身の政治信条・キャッチコピーへと昇華しました。リズミカルで覚えやすい3拍子のフレーズは、平成のバラエティ番組でも格好のパロディ対象となり、老若男女を問わない国民的な知名度を獲得する原動力となったのです。
また、誰もが一目で井脇氏と認識できた「全身ピンクのスーツ」にも、明確な戦略と教育的意図が存在しました。自著の手記や当時のインタビューにおいて、彼女は次のような理由を明かしています。
「少年の船で何百人もの子どもたちを引率する際、海の上や雑踏の中でも『先生がどこにいるか』が一目でわかるように原色の服を着る必要があった。そしてピンクは、愛情、ぬくもり、そして見る人を明るく前向きにさせる色。子どもたちが不安になったとき、ピンクの私を見つければ安心できるから」
男性議員が大半を占め、黒や濃紺のスーツで埋め尽くされていた当時の永田町において、このショッキングピンクの装束は強烈な異彩を放ちました。視覚的インパクトによるメディア露出効果と、教育現場で培った「存在の可視化」という実用性が融合した結果生まれた、極めて完成度の高いパーソナルブランディングだったと言えます。