楽曲の爆発的なヒットを決定づけたのが、YouTubeで数十億回規模の再生を記録している公式ミュージックビデオ(MV)です。映像の舞台となったのは、アメリカ・カリフォルニア州マリブに位置するエル・マタドール・ステート・ビーチ(El Matador State Beach)周辺の海岸線でした。
青い空と砂浜、そしてヴィンテージのフォルクスワーゲン・キャンパーバン(タイプ2)に乗って旅をする5人の若者という構図は、爽やかな青春の象徴として瞬く間に世界へ拡散されました。しかし、当時の現場は映像の温かな質感とは裏腹に、過酷なコンディションだったことが記録されています。
撮影が行われたのは2011年7月。早朝のマリブ沿岸部は太平洋からの強烈な海風が吹き荒れ、気温は非常に低く、メンバーたちは震え上がりながら半袖や薄手のシャツでカメラの前に立ち続けました。監督を務めたジョン・ウルバノは、あらかじめ厳密に振り付けを固定せず、砂浜を駆け回ったり波打ち際で戯れたりするメンバーの「等身大の無邪気さ」を長回しで捉える手法を採用しました。
当時のインタビューにおいてメンバーは、「寒さで感覚がなくなるほどだったが、5人でふざけ合っているうちに寒さを忘れ、純粋に楽しむことができた」と振り返っています。この作為のないナチュラルな関係性こそが、デビューアルバム『Up All Night』を歴史的名盤へと押し上げる決定打となりました。