草笛光子の私生活を語る上で欠かせないのが、若き日の結婚と、その後の自立した人生設計です。
松竹歌劇団(SKD)出身の圧倒的なスタイルと美貌でスターダムを駆け上がった彼女は、1960年、文豪・芥川龍之介の三男で著名な作曲家・指揮者であった芥川也寸志氏と結婚しました。当時、美男美女の文化人カップルとして世間の大きな注目を浴びましたが、結婚生活はわずか2年足らずでピリオドを打つことになります。
離婚の背景には、多忙を極める仕事のすれ違いや、名門・芥川家の妻としての重圧、双方の強いプロ意識があったと伝えられています。草笛自身、後年の回顧録や対談で「お互いを嫌いになって別れたわけではないけれど、自分には家庭に収まりきる器量がなかった」と率直に語っています。
その後、再婚することなく独身を貫いており、子供はいません。昭和から平成の芸能界では「結婚して家庭に入り子供を育てることが女性の幸福」という固定観念が色濃く残っていましたが、草笛光子はいち早く「女優として自らの足で立ち、一人で生き抜く道」を選択しました。
世田谷区にある自宅では、長年寄り添った愛犬たちや信頼できるスタッフに囲まれ、四季折々の花を愛でながら優雅な一人暮らしを送っています。自宅リビングに置かれた大きな鏡の前で毎日姿勢をチェックし、お気に入りのアンティーク家具に囲まれて過ごす時間は、彼女にとって精神的な安らぎの源泉となっています。