ネット上の掲示板やSNSで頻繁に投げかけられる疑問があります。「なぜそこまで酷い欠陥住宅なら、さっさと売却して賃貸に引っ越さないのか?」という指摘です。しかし、ここには不動産取引における冷酷な構造的トラップが存在します。
欠陥住宅として全国ネットのテレビ番組で構造上の問題が知れ渡った物件は、不動産市場において重大な「心理的・物理的瑕疵」を抱えることになります。査定に出しても建物価値は事実上ゼロ、評価されるのは世田谷の土地代のみとなります。さらに、傾いた建物を解体して更地にするための解体費用(数百万円)が差し引かれるため、実際の売却可能価格はローン残債を大幅に下回る「大規模なオーバーローン」状態に陥るのです。
もし強引に売却すれば、家を失った上で1500万〜2000万円以上の借金だけが手元に残り、さらに新たな賃貸住宅の家賃を二重で払い続けなければなりません。プロの不動産鑑定士やファイナンシャルプランナーの見地から分析しても、「補修を最低限に抑え、完済まで家族で住み倒す」という内間の決断は、感情論を排除した極めて合理的で痛烈な防衛策だったのです。