「抜歯=激痛」というイメージを持つ人は多いですが、現代の歯科医療における歯医者の抜歯痛みの真相を探ると、処置中の痛みは麻酔技術の進化によってほぼ完全にコントロールされています。
歯を抜く方法で痛くない治療を実現するため、現在の歯科医院では綿密な抜歯の局所麻酔の流れが確立されています。まず、針を刺す歯茎の粘膜に高濃度のゼリー状「表面麻酔」を塗布し、チクッとする初期刺激を麻痺させます。その上で、外径わずか0.2mm前後の極細注射針(33G〜35G)を用い、麻酔液を体温と同等の約37℃に温めて注入します。さらに電動麻酔器を使ってコンピューター制御で超微量の薬液を一定速度で注入するため、圧力変化による細胞拡張の痛みがほとんど生じません。
麻酔が完全に効いた状態では、器具で骨から歯を浮かす際の「押される感覚」や「ミシミシという音」は伝わりますが、鋭い痛覚は完全に遮断されます。ただし、歯の周囲に急性炎症や強い膿が溜まっている状態では、組織が酸性に傾いて麻酔薬が中和され、麻酔が効きにくくなる現象が起きます。そのため、事前の消炎処置や抗生剤の内服によって炎症を落ち着かせてから抜歯を行うのが鉄則です。