「十三村どたぬき(読み方:じゅうさんむら どたぬき)」という言葉を分解すると、東北から近畿・九州地方まで全国に点在する地名・旧村名である「十三村(じゅうさんむら/とさむら)」と、動物の狸あるいは刀剣の呼称である「どたぬき」という2つの強い意味要素が合体していることが分かります。
調査によると、この言葉がネット上に現れるルートには大きく分けて2つの系統が存在します。1つは、民俗学において土着の化け狸や怪異を指す「土狸(どたぬき)」が、特定の地域共同体(十三の集落からなる郷村など)の昔話と結びついて語られたケース。もう1つは、時代劇『子連れ狼』などで一躍有名になった肥後の名刀「同田貫(どうたぬき)」に、架空の出身地や流派のような響きを持たせたパロディ・創作設定として生まれたケースです。
民俗伝承の記録を辿ると、古くから日本の農村部では「人を化かす古狸」に対して親しみと畏怖を込めた固有の呼び名をつける習慣がありました。これに武骨な実戦刀のイメージがインターネット空間で奇妙に混ざり合い、「十三村に伝わる謎の存在」あるいは「十三村の同田貫」というミステリアスな響きを帯びるに至ったのが正体といえます。