物語が『無限城編』へと突入するにあたり、童磨という存在は鬼殺隊の主要人物たちと深く、重い宿命で結びついています。彼が率いる「万世極楽教」は、苦しむ人間たちを自らの身体に取り込む(喰らう)ことで「永遠の命を与え、苦痛から救済する」と説く狂気のカルト集団です。特に栄養価が高いとされる若い女性を好んで喰らう童磨の凶行は、多くの悲劇を生み出してきました。
その最たるものが、蟲柱・胡蝶しのぶとの因縁です。しのぶの実の姉であり、心優しき前花柱であった胡蝶カナエを惨殺した張本人が童磨でした。姉を奪われ、笑顔の仮面を被りながら復讐の炎を燃やし続けてきたしのぶにとって、童磨は命を賭して討ち果たすべき絶対の仇敵です。
さらに運命はそれだけに留まりません。しのぶの継子である栗花落カナヲ、そして自らの出自を知らずに育った嘴平伊之助の出生の秘密、母・琴葉(ことは)の命を奪った真実までもが、この童磨という怪物を中心に交錯します。
無限城の広大な広間を舞台に、氷の血鬼術を操る童磨と、毒と知略を駆使して立ち向かう鬼殺隊の戦いは、単なる力と力の激突を超えた「情念と虚無の思想闘争」として描かれます。感情を持たない童磨が、人間たちの激しい怒りや絆に触れたとき、宮野真守氏がどのような声の変遷を演じるのかが、映像化における最大のハイライトです。