「単なる喉風邪やインフルエンザだと思っていたら、数日後に全身へ発疹が広がった」という証言が、医療機関の外来で後を絶ちません。はしかの脅威は、感染初期において一般的な上気道炎との見分けが極めて困難な点にあります。
はしか潜伏期間は通常約10〜12日(最大21日程度)と比較的長く、この無症状の期間を経て症状が段階的に現れます。临床現場で重視される典型的な経過は以下の通りです。
- カタル期(発熱・風邪様症状):初期症状として38度前後の発熱、強い咳、鼻水、目の充血(結膜炎症状)、目やにが現れます。特に「強い羞明(まぶしさを嫌がる)」や結膜の充血は麻疹特有の手がかりです。この時期の感染力が最も強いとされています。
- コプリック斑の出現:カタル期の後半(発熱後2〜3日目)、頬の内側の粘膜に小さな白い斑点(コプリック斑)が出現します。これを確認できれば麻疹の診断はほぼ確定的となりますが、出現期間が短いため見逃される例も少なくありません。
- 発疹期(二峰性の発熱):いったん解熱しかけた体温が再び39〜40度を超える高熱へと跳ね上がり、耳の後ろや首筋から赤く盛り上がった発疹が出始めます。発疹は急速に顔面、体幹、四肢へと広がり、互いに融合して皮膚全体を赤く染めます。
- 回復期:高熱が数日間続いた後、解熱とともに発疹は色素沈着を残しながら徐々に消失に向かいます。体力の消耗は激しく、全身倦怠感が長引く傾向があります。
注意すべきは、はしか初期症状の段階で自己判断により市販の解熱鎮痛薬を服用し、通常の受診ルートで一般のクリニックを訪れてしまうケースです。麻疹を疑う症状がある場合、医療機関へ直接向かうのではなく、必ず事前に電話連絡を入れて麻疹の疑いがある旨を伝え、隔離スペースの確保や指示を仰ぐことが、院内感染を防ぐ鉄則です。