日本全国の事故物件情報を網羅する公示サイト「大島てる」は、開設から20年以上が経過した現在も、月間数千万ページビューを誇る巨大プラットフォームとして不動産市場に君臨しています。スマートフォンの普及とともに専用アプリの利用率も跳ね上がり、今や引っ越し前の「必須チェック項目」として定着しました。
メディアに露出する白髪交じりの独特な風貌と、淡々とした語り口で知られる代表者。その活動名である「大島てる」は、実は個人の本名ではなく、元々は先祖代々の土地を受け継ぐ実家の不動産管理会社の屋号(祖母の名に由来)です。代表本人の本名は大島学(おおしま まなぶ)氏。その経歴は極めて異色であり、東京大学経済学部を卒業後、米コロンビア大学大学院へ留学・中退という華々しいエリート街道を歩んできました。
彼がなぜ、タブー視されていた事故物件の情報開示に乗り出したのか。その動機は意外にも高尚な義憤だけではなく、「自らが家主として不動産経営を行うなかでの自己防衛」にありました。先祖伝来の資産を管理する過程で、過去に自殺や事件があったにもかかわらず告知されずに売り付けられそうになった経験から、悪徳業者に騙されないための個人的な防衛用データベースを作ったのが2005年9月のことです。それがネット上で公開されるや否や爆発的なアクセスを呼び、現在の事故物件公示サイトへと変貌を遂げました。
運営元である株式会社大島てるの収益構造は、主にサイトやアプリ上の運用型広告ネットワークと、代表自身へのメディア出演・イベント登壇・書籍監修などの版権収入から成り立っています。ごく少数のエンジニアとモデレーターで運用されているため固定費が極めて低く、本業の不動産賃貸収入と合わさり、莫大なキャッシュを生み出し続ける筋肉質なビジネスモデルを確立しています。