インターネット上にはびこる危険な誤解の一つに、「カビが生えた部分だけを包丁で削り落とせば、残りの部分は加熱すれば食べられる」という言説があります。これは食品衛生学上、非常にリスキーな判断と言わざるを得ません。
いちごのような果汁が多く組織がスカスカな果実では、表面に目に見えるカビ(菌糸や胞子)が現れた時点で、目視できない微小な菌糸が中心部や隣接する果肉全体に根を張っている可能性が極めて高いからです。さらに、カビ毒(マイコトキシン)は熱に強く、一般的なジャム作りの加熱程度では分解されないものも存在します。
重大な健康被害を避けるためにも、以下の傷んだいちごの見分け方を正しく把握し、冷徹に判断する選別眼が必要です。
- 即廃棄すべき危険サイン:
- 果皮の表面に白、緑、灰色の綿毛のようなカビが発生している。
- 指で触れると形を保てずにドロリと崩れ、果汁が濁っている。
- ツンとする酸臭、アルコール発酵臭、またはドブのような異臭がする。
- 果肉全体が茶褐色や半透明に変色し、ブヨブヨに軟化している。
- まだ救出可能な要注意サイン(加工・即消費推奨):
- ヘタが乾燥して黄色っぽく萎縮しているが、果肉自体には硬さがある。
- 果肉の先端だけがわずかに押し潰されて色が変わっている(当該箇所のみ切除して即加熱調理へ)。
- 香りがやや薄くなっているが、異臭やぬめりは一切ない。
パック内の1粒に白カビが生えていた場合、その果実は即座に廃棄し、隣接して触れ合っていた果実も入念にチェックしてください。肉眼で異常がなくても胞子が付着しているリスクが高いため、残った健康な果実をタッパーに移し替える前に、異常がないか入念に選別することが他の果実を守る防波堤となります。