青木政憲被告の生い立ちを振り返ると、地方の名望家という看板と、本人が抱え続けた社会的挫折との激しいコントラストが見て取れます。
地元の中学を卒業後、長野県内の進学校へ進学したものの、人間関係に馴染めず中退・転校を経験。その後、首都圏の私立大学(東海大学)に進学しましたが、ここでも周囲との摩擦から中途退学を余儀なくされました。一時期は自衛隊の候補生として入隊したものの数カ月で離脱し、最終的に中野市の実家へ戻る形となりました。
帰郷後、父・正道氏が設立した農業法人で果樹栽培に従事し、2019年頃からは家族でオープンさせたジェラート店「ジェラテリア アグリス青木」の店長格として勤務していました。地元メディアや観光客からも評判を集めていた人気店でしたが、店舗の華やかなイメージの裏側で、被告本人は極度の対人恐怖と人間不信を悪化させていたとされます。
特筆すべきは、重度の精神的孤立状態にありながら、被告が合法的に猟銃や空気銃など計4丁の銃器を所持していた点です。クレー射撃の許可を取得し、公安委員会の審査を形式上通過していた事実は、銃器所持許可制度における精神チェックの脆弱性を社会に突きつける結果となりました。