この名言が語られた舞台こそ、エヴァンゲリオン全史を通じても屈指の人気と知名度を誇る迎撃作戦「ヤシマ作戦」です。戦局は、ネルフ本部壊滅のカウントダウンが迫る極限状態にありました。
襲来した第5使徒(新劇場版では第6使徒)ラミエルは、強力無比なA.T.フィールドと、目標を自動迎撃する長射程の加粒子砲を備えた浮遊要塞でした。さらに本体下部から巨大な掘削シールドドリルを伸ばし、ネルフ本部が位置する地下ジオフロントへ向けて毎時数十メートル単位で侵攻を続けていたのです。通常兵装による接近戦は一切不可能であり、ドリルが本部に到達するまでの残された猶予時間は約10時間しかありませんでした。
作戦部長の葛城ミサトが立案した奇策、それが「日本全土の電力を徴発し、試作陽電子砲(ポジトロン・スナイパー・ライフル)による超長距離からの狙撃」を行うヤシマ作戦でした。戦略自衛隊技術研究本部から接収した試作陽電子砲を初号機が構え、使徒の加粒子砲の射程外から核融合と同等のエネルギーを一点集中させて撃ち抜く計画です。
しかし、この作戦には致命的な構造的リスクが存在していました。
初号機の精密狙撃には、日本中の電力を集約・変換するための約十数秒間に及ぶ冷却とチャージが必要です。もし第1射を外せば、即座に使徒からの報復射撃を受け、射撃姿勢のまま動けない初号機は確実に蒸発します。そこで配置されたのが、スペースシャトルの底部を流用した耐熱光波防御盾(超電導磁気防壁)を構え、自らの肉体を盾にして初号機を守る役目――すなわち綾波レイが駆るEVA零号機でした。
「守るもの」という言葉は比喩ではなく、「自身が盾となって使徒の超高熱線を直接浴びる」という冷徹な戦術配置そのものを指していたのです。