上坂すみれの演技における最大の強みは、「高音域の甘美なトーン」と「低音域のドスの利いたドSボイス」を瞬時に切り替える瞬発力にあります。『オーバーロード』のシャルティアで見せた、可憐なお嬢様口調から一変して標的を惨殺する際の野太い咆哮は、音響監督や共演者からも驚嘆の声が上がったほどです。
さらに特筆すべきは、上智大学外国語学部ロシア語学科卒業という学歴に裏打ちされた言語表現のリアリティです。アニメ『ロシデレ』や『デレマス』でのロシア語台詞は、単なる台本の丸暗記ではなく、音節のアクセントや感情の乗せ方にネイティブレベルの説得力があります。外国語を記号としてではなく「生きた感情の言語」として芝居に落とし込める声優は、現在の声優界でも極めて稀有な存在です。
また、彼女自身が80年代アイドル歌謡、ヘヴィメタル、昭和プロレス、ミリタリーといった濃密なサブカルチャーに造詣が深いことも見逃せません。作品の時代背景や元ネタに対する理解度が極めて高いため、ディレクションの意図を瞬時に汲み取り、キャラクター造形に立体感を与えることができます。