『脳内エステ IQサプリ』を象徴する小道具であるモヤッとボール。解答者が「モヤッと!」と叫びながら手元のダクトへ投入すると、番組マスターを務める伊東四朗氏の頭上へ大量に降り注ぐという痛快なギミックは、当時のバラエティ演出として極めて完成度の高いものでした。
多くの視聴者が気になっていたのが、その独特な感触と安全性です。美術スタッフや番組関係者の証言によると、モヤッとボールの素材には主に熱可塑性エラストマー(TPR)や特殊配合の軟質ウレタン樹脂が採用されていました。トゲが多数生えた形状でありながら、人に当たっても怪我をしない柔軟性と、握った際に指先へ心地よい刺激を与える絶妙な弾力性を両立させるため、試作を重ねて開発された特注品です。
解答席のダクトから吸い込まれたボールは、スタジオ裏に張り巡らされたエアシューター(空気圧搬送管)とベルトコンベアによって上部タンクへと集約されるモヤッとボールの仕組みになっていました。溜まったボールが一気にマスターの頭上から落下するシーンは、油圧式ホッパーの開閉制御によるもので、フジテレビのクイズ番組小道具制作における技術力の粋が集約されていました。
そもそも、なぜ解答者はボールを投げ入れたのでしょうか。モヤッとボールを投げ入れる理由は、正解が出ずに脳が停滞した「不快感・もどかしさ」を物理的なアクションに変換して発散させるためです。正解した際に咲く「スッキリフラワー」の快感と、不正解時の「モヤッと」の対比が、視聴者にも追体験できるゲーム性をもたらしました。