「パラベンフリー」とは、化粧品の防腐剤として長年使われてきたパラオキシ安息香酸エステル類(通称:パラベン)を配合していないことを意味します。パラベンにはメチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンなど複数の種類が存在し、それらのいずれも使わずに製造された製品にこの表示が用いられます。
ここでまず理解しておかなければならないのは、化粧品防腐剤の役割です。化粧品には水分、油分、保湿剤、アミノ酸や植物エキスなど、微生物(カビ・酵母・細菌)にとって格好のエサとなる栄養源が凝縮されています。もし防腐剤が一切入っていなければ、私たちが容器のフタを開け、指先で触れるたびに空気中の雑菌が混入し、わずか数日から数週間で雑菌や緑膿菌が爆発的に繁殖してしまいます。腐敗した化粧水を顔に塗れば、深刻な皮膚感染症や肌荒れを引き起こすのは自明の理です。つまり、防腐剤は化粧品が工場を出荷されてから使い切るまでの数カ月から数年間にわたり、安全に使用するための「衛生的な命綱」なのです。
また、多くの消費者が混同しがちなのが無添加化粧品との違いです。日本の化粧品マーケティングにおいて「無添加」という文言に厳密な法的定義はありません。「アルコール無添加」「着色料無添加」「パラベンフリー」など、メーカーが特定の成分を1つでも排除していれば「無添加」と表記できてしまう実情があります。「パラベンフリー=完全無添加で肌に一切負担がない」と思い込むのは、メーカーの打ち出すイメージ戦略を鵜呑みにした大きな誤解といえます。