言葉の変遷に最も敏感な辞書・出版業界は、この誤用と本来の意味のギャップをどのように扱っているのだろうか。日本を代表する大型国語辞典である『デジタル大辞泉』を開くと、第一義には仏教用語としての正確な定義が掲げられており、その後に俗用としての「人任せ」という意味が補足説明されている。
一方で、実用性を重視する三省堂の国語辞典(『三省堂国語辞典』や『新明解国語辞典』)でも、時代の変化に伴う言葉の揺らぎを記録しつつも、本来の仏教的背景を注記することを忘れていない。辞書編纂の現場においても、「自力」と「他力」の対立構造を解説する際には、俗称としての「他力本願」と真の意味との区別が厳密になされているのだ。