この現象は単なるスタイルの流行にとどまらず、ラグジュアリーファッション産業全体のビジネス構造をも再編している。これまでメンズシューズといえばスニーカーやクラシックな革靴が売上の大半を占めていたが、高価格帯のハイエンドブーツカテゴリーが前年比で驚異的な成長率を記録しているのだ。
世界のフットウェア産業は、男性特有の骨格や甲の高さ、ふくらはぎの筋肉量に合わせた専用のラスト(木型)開発に巨額の開発費を投じている。美しさと歩行性を両立させた最新のプロダクトは、従来のウィメンズ用をサイズアップしただけの靴とは一線を画す。男性消費者の美意識の先鋭化が、職人技術の限界を押し広げている。