アニメ『惡の華』の第13話(最終回)を観た視聴者の誰もが息を呑んだのは、本編終盤に挿入された怒涛の映像シークエンスでした。原作第2部にあたる高校生編、常磐文との出会いや夏祭りの事件など、その後の展開を示唆するカットが高速でフラッシュバックされ、事実上の「予告編」のような形で幕を閉じたからです。
この演出から「当初は2期を前提に企画されていたのではないか」「2期が立ち消えになったのは打ち切りだったのか」という議論が長年続いています。
業界構造と公開データを検証すると、2期が制作されなかった決定的な要因は商業的採算性の壁にありました。2013年当時の深夜アニメビジネスは、Blu-ray/DVDパッケージの売上と関連グッズ収益が制作費回収の主軸でした。しかし、『惡の華』のパッケージ初動売上は第1巻で約300枚前後と、採算ライン(一般的に3,000〜5,000枚とされる)を大きく下回る結果となったのです。
加えて、実写撮影を行ってから作画トレースを行うロトスコープの制作費とスケジュール負荷は、通常のアニメ制作を遥かに凌駕する重労働でした。制作委員会やスポンサーにとって、莫大なコストに対して国内パッケージ需要が見込めない状況下で第2期のゴーサインを出すことは極めて困難だったというのがビジネス面の実情です。
ただし、作品単体として見れば「打ち切り」というより、春日と仲村の共犯関係が一度臨界点に達する原作漫画の第7巻(中学編の完結)までを1クールで完璧に描き切るという当初の構成意図を完遂した結末とも解釈できます。