猛獣同士の格闘戦において、勝敗を分ける最大のファクターは「絶対的な質量」です。アフリカのサバンナに生息する雄のライオンは、体長約2メートル、体重はおよそ180kgから220kgに達し、ネコ科としてはトラに次ぐ堂々たる体躯を誇ります。しかし、比較対象をヒグマやホッキョクグマといった大型のクマ科動物に移した瞬間、この数字は見劣りせざるを得ません。
北米に生息する沿岸部のグリズリーや、アラスカの離島に隔離分布するコディアックヒグマ体重は、成体雄で400kg〜600kg超を記録し、秋の蓄えがピークに達した個体では700kg近くに達することすら珍しくありません。体重差にして2倍から3倍。格闘技に例えるならば、ライトヘビー級の選手が無差別級の超巨漢力士に組み付くほどの絶望的な体格差が存在します。
さらに見逃せないのが骨格の構造です。ネコ科の動物は獲物を追走し、しなやかに跳躍するために骨が中空構造に近く、軽量化された進化を遂げています。一方のクマ科は重い巨体を支え、土を掘り倒木を薙ぎ倒す生活様式から、極めて緻密で太い骨格を獲得しました。体重差と骨密度の比較において、ライオンの骨格は熊の一撃を受け止める耐荷重性能を備えておらず、純粋な物理的強度で完全に圧倒されているのが現実です。