インターネット上には数多くのシンク下消臭ノウハウが出回っていますが、中には科学的根拠を欠き、かえって設備を傷めたり悪臭を悪化させる誤解が蔓延しています。住宅メンテナンスの視点から、代表的な誤謬を是正します。
1つ目の誤解は、「木製キャビネットのカビ取りに塩素系カビ取り剤を吹き付ける」という行為です。シンク下の底板や側板に使われているパーティクルボードや合板に塩素系漂白剤を使用すると、木材の接着樹脂が化学分解を起こしてボロボロになり、特有の刺激臭が長期にわたって残留します。木部のカビ取りには、重曹ペーストで表面の皮脂・汚れを吸着除去したのち、濃度70〜80%の消毒用エタノールを吹き付けて拭き取るのが正解です。重曹の弱アルカリ性は酸性の油臭を中和する働きも兼ね備えています。
2つ目の誤解は、「熱湯を流せば排水管の油汚れが一発で溶ける」という民間療法です。キッチンの排水管や蛇腹ホースの耐熱温度は通常60℃前後です。沸騰した熱湯(100℃)を流し込むと、塩化ビニル樹脂が軟化・変形し、接合部が外れてシンク下が水浸しになる重大事故を引き起こします。配管内の油汚れには、40〜50℃のぬるま湯を使用するか、水酸化ナトリウム(濃度1%以上)を含有する業務グレードの液体パイプクリーナーを規定時間(15〜30分)注ぎ込み、冷水で一気に洗い流すのが鉄則です。なお、パイプクリーナーを数時間以上放置すると、溶けたヘドロが管の奥で再凝固して完全閉塞を引き起こすため、放置時間は厳守しなければなりません。