「吠える犬」というモチーフは、日本だけでなく世界共通の人間観察から生まれた表現です。英語圏では古くから以下の表現が定着しています。
・Barking dogs seldom bite.(吠える犬はめったに噛まない)
・A barking dog never bites.(吠える犬は決して噛まない)
・His bark is worse than his bite.(彼は吠え声が大きいだけで実害はない=口は悪いが悪気はない)
また、文化的な文脈において外せないのが、映画『パラサイト 半地下の家族』で知られる名匠ポン・ジュノ監督の長編デビュー作『吠える犬は噛まない』(原題:Flanders of Flanders / 2000年公開)です。
本作は、閑静な団地で鳴き止まない小型犬の鳴き声に苛立ちを募らせる冴えない大学非常勤講師と、団地の管理事務所で働く冴えない女性職員が織りなすブラックコメディです。タイトルの通り、「理不尽な社会構造の中で吠えることもできない弱者たち」や「虚勢を張らざるを得ない小市民の滑稽さ」を鮮烈に描き出し、世界的な高評価を獲得しました。