議論を始める前に、ネクタイの構造を押さえておきたい。ネクタイは大きく3つのパーツで構成される。首元で結び目(ノット)を作る部分、そこから下に垂れる幅広の「大剣(おおけん)」、そして背面に隠れる幅細の「小剣(しょうけん)」だ。私たちが「ネクタイの長さ」と呼ぶとき、それはほとんどの場合、大剣の剣先がどこに位置するかを指している。
一般的に販売されている既製品ネクタイの全長は、140〜150cm程度が主流だ。ENJOY ORDER Magazineの調査によると、この規格は日本人男性の平均身長である約165〜175cmを想定して設計されており、標準的な体型の男性がプレーンノットで結んだ際に大剣の剣先がベルトのバックル付近に来るよう逆算されている。しかし「標準」は決して「全員に合う」を意味しない。この前提を最初に理解しておくことが、ネクタイ選びで失敗しないための第一歩となる。
また見落とされがちなのが小剣の役割だ。ネクタイを結んだあと、小剣は大剣の裏側にあるループ(キーパー)に通すのが正しい着用法。小剣が表に飛び出したり、ループを通らずに垂れ下がったりしている状態は、それ自体がだらしない印象を与える要因になる。長さの管理という観点では、小剣が大剣より長くならないことも確認ポイントのひとつだ。