都市部のフラワーパークやテーマパークの多くが数千円規模の入園料を設定する中、くりはま花の国が「入園料無料」を貫き通している背景には、行政と民間活力を組み合わせた独自の都市公園運営システムが存在します。
もともとこの広大な敷地は、戦前・戦後の旧日本軍および米軍施設(久里浜弾薬庫など)の跡地でした。横須賀市が緑地の保全と市民の福祉・健康増進を目的に都市公園として整備を進め、1988年に開園した歴史的経緯があります。公営の総合公園としての公共性が第一の基盤にあるため、市民をはじめとする来園者から入場料を徴収しない方針が厳格に保たれているのです。
では、100万本規模の花壇管理や清掃、設備の安全管理にかかる膨大な維持費はどのように賄われているのでしょうか。その答えは、「指定管理者制度」と「付帯収益モデル」の精緻な循環にあります。
園内の管理運営は、緑地管理やレジャー運営のエキスパートで構成される民間企業グループが受託しています。入園自体を無料にして来園のハードルを極限まで下げる一方、園内を巡回する「フラワートレイン」や「フラワーボルク」の乗車料金、大型駐車場の利用料、海望レストランやBBQガーデンの飲食売上、売店での物販といった有料サービスの収益を公園の維持・花壇の植栽費用へと還元する仕組みを確立しているのです。無料という言葉の裏には、持続可能なパークマネジメントの緻密な設計図が存在しています。