小城羊羹の代名詞ともいえるシャリシャリとした食感は、偶然の産物ではなく、江戸時代から受け継がれてきた「切り羊羹(昔羊羹)」の伝統技術によって意図的に生み出されています。
一般的なアルミ包材などに充填して密閉冷却する羊羹とは異なり、昔羊羹は練り上げた羊羹を大きな木枠に流し込み、一晩じっくりと冷やし固めます。その後、職人の手で一本一本切り分け、風通しの良い室(むろ)で数日間かけて自然乾燥・熟成させます。この乾燥工程において、羊羹内部の水分が外側へと蒸発する過程で、溶け込んでいた砂糖が表面で再結晶化する現象(糖化)が起こります。
この糖化を均一かつ美しい厚みに仕上げるには、その日の天候、湿度、風向きを肌で察知する長年の勘が欠かせません。乾燥させすぎれば硬くなりすぎ、水分が多すぎればシャリ感が生まれません。佐賀銘菓・小城羊羹の老舗が守り抜いてきたこの技法こそが、外はシャリッと、中はもっちりという奇跡の二重構造を成立させているのです。