プロジェクトの根底にあるのは、角川グループの中核を担うKADOKAWAと、数々のヒット作をプロデュースしてきたアニプレックスという二大巨頭による奇跡的な共同プロデュースだ。競合関係にある両社がタッグを組む異例の布陣は、企画段階から業界内に大きな激震を走らせた。
監督を務めたのは、独特の映像言語と極限まで研ぎ澄まされた演出手法で知られる新房昭之。視覚的なカッティングとタイポグラフィの妙技は健在でありながら、本作ではキャラクターの内面描写にどこまでも泥臭く迫る。従来の美少女アニメが持つ記号的な可愛らしさを踏襲しつつも、そこに濃厚な心理劇を交差させる手腕は圧巻と言うほかない。
表面的には軽快なラブコメの装いを取りつつも、ふとした瞬間に漂う緊張感が観客を魅了する。甘い日常の裏に潜む歪みが明かされるたび、作品の持つ多元的な魅力が浮き彫りになっていくのだ。こうした試みは現在のアニメ業界における表現の限界値を確実に押し広げている。