1ヶ月に5%以上の急激なペースで体重が減少すると、生体維持機構である「ホメオスタシス(恒常性維持機能)」が強力に作動します。人類の数十万年にわたる進化の歴史の大半は飢餓との闘いでした。そのため、短期間で体内のエネルギー貯蔵量が急減すると、脳の視床下部は「生命の危機に瀕している」と判断し、生存のための緊急防衛モードへと舵を切ります。
この防衛モードに入ると、甲状腺ホルモンや自律神経の働きによって消費エネルギー(基礎代謝)が強制的に抑制されます。食事量を極限まで減らしているにもかかわらず、ある日突然体重計の針がピタリと止まる「停滞期」の正体は、まさにこのホメオスタシスの発動によるものです。
さらに厄介なのは、食欲抑制ホルモン「レプチン」の分泌が激減し、食欲増進ホルモン「グレリン」が大量分泌される点です。強烈な飢餓感に襲われて自制心を失い、過食に走った結果、省エネモードになった身体が摂取した栄養を猛烈な勢いで体脂肪として蓄積します。これが「体重5パーセント以上の急減量」がほぼ確実にリバウンドを引き起こす生理学的メカニズムです。