サザンファンの間で長年語り継がれるトピックのひとつに、初期の代表曲『モーニング・ムーンは粗末に』と映画タイアップをめぐる関連性があります。『モーニング・ムーンは粗末に』は1978年の名盤1stアルバム『熱い胸さわぎ』に収録されたカルト的人気を誇るファンキーロックですが、1981年にはこの楽曲と同名の東宝映画『モーニング・ムーンは粗末に』(渡邊祐介監督)が公開されました。
この映画は、サザンオールスターズの楽曲が全編にわたってフィーチャーされた青春劇であり、劇中では『勝手にシンドバッド』や『いとしのエリー』、そして『思い過ごしも恋のうち』が若者たちの彷徨と情熱を彩るキーアイテムとして使用されています。
当時、映画館でこの作品を体験した世代の証言によると、「単なるBGMではなく、桑田佳祐の歌声と歌詞が主人公たちのやり場のない焦燥感と完全に同期していた」と振り返られています。映画のタイトルとなった楽曲と、劇中で重要な役割を担った『思い過ごしも恋のうち』は、初期サザンが持っていた「湘南の光と影」「青春の儚さ」という共通の遺伝子で結ばれていたのです。