ドラフトビールとは?生ビールとの違いや缶との真相を専門記者が解明

ドラフトビールとは?生ビールとの違いや缶との真相を専門記者が解明

ドラフトビールとは?生ビールとの違いや缶との真相を専門記者が解明とはどんな影響があるのか? 詳しい意味を丁寧に紐解いて紹介します。

「ドラフトビール」という響きには、どこか本格的で専門的なニュアンスが漂います。しかし結論から言えば、日本国内の流通市場において「ドラフトビール」と「生ビール」は法的にまったく同じものを指しています。

この事実を規定しているのが、公正取引委員会および消費者庁の認可を受けて運用されている「ビール公正競争規約」です。同規約の第4条では、「熱処理(加熱殺菌)をしていないビール」でなければ「生ビール」あるいは「ドラフトビール」と表示してはならないと明確に定められています。つまり、製法上の定義として両者に差異は一切存在しません。

では、なぜ2つの呼称が存在するのでしょうか。その鍵は言葉の歴史にあります。ドラフトビールの語源由来は、古英語の「dragan(引く・汲み出す)」に端を発し、英語圏では「Draught(樽から引き抜く、注ぐ)」を意味します。欧米では伝統的に、樽(ケグやカスク)からタップを通じて注がれるビール全般をドラフトビールと呼び、缶や瓶に詰められたパッケージ製品と厳密に区別してきました。

一方の日本市場では、昭和中期まで熱処理による酵母の殺菌が主流でした。1960年代後半から1970年代にかけて精密ろ過技術が実用化され、加熱せずとも酵母を取り除いて常温流通させることが可能になった際、各メーカーが「新鮮で加熱していないビール」の先進性をアピールするために「生」や「ドラフト」の文言を競って冠した歴史があります。その結果、日本では「樽から注ぐか否か」ではなく「加熱殺菌の有無」を示す用語として定着しました。

中川 明日香
著者

中川 明日香

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。