薬局やドラッグストアで購入できる市販薬(OTC医薬品)を適切に選ぶことができれば、軽度から中等度の口角炎は短期間でコントロール可能です。パッケージの宣伝文句に惑わされず、有効成分に着目して選ぶ必要があります。
市販の外用薬を選ぶ際、以下の3つの系統から自身の症状に合わせて絞り込みます。
第1に、組織修復・抗炎症型です。代表的な成分として、アラントイン(組織修復促進)、グリチルレチン酸(抗炎症)、トコフェロール酢酸エステル(ビタミンE:血行促進)が組み合わされた軟膏(例:メンソレータムヒビプロLP、モアリップ等)が挙げられます。乾燥してひび割れ、出血がある非感染性の初期口角炎には第一選択となります。
第2に、抗生物質配合型です。亀裂周囲が黄色く膿んでいたり、ズキズキとした熱感を伴う場合は、細菌感染を抑える抗生物質軟膏(例:テラマイシン軟膏、クロマイ-P軟膏等)が適しています。ただし、クロマイ-P軟膏のようにステロイド(ヒドロコルチゾン)を含有する製剤は、細菌には効くものの真菌(カンジダ)を爆発的に増やすリスクを孕んでいるため、漫然と長期使用してはなりません。使用は最長でも5日〜1週間以内にとどめるのが医薬品適正使用の基本です。
【プロの結論】自力ケアで治る人・今すぐ受診すべき人の判断基準
唇の横が切れた際、セルフメディケーションで対処してよいケースと、専門医療機関への受診が不可欠なケースには明確な境界線が存在します。
【セルフケアで様子見が可能な人】
・発症から3日以内で、原因に明らかな寝不足や偏食、空気乾燥の自覚がある。
・傷口が直線的で、白苔(白い膜)や激しい膿の付着がない。
・ワセリン塗布とビタミンB群内服を開始して2〜3日で縮小傾向が見られる。
【今すぐ医療機関を受診すべき人(おすすめできない危険な状態)】
・市販薬を塗布しているにもかかわらず1週間以上治らない、または悪化している。
・口角に白いかす状の付着物(白苔)があり、周囲の皮膚が広範囲に赤く爛れている(カンジダ性の疑い大)。
・口角だけでなく、口腔内全体に口内炎が多発している、あるいは発熱やリンパ節の腫れを伴う。
・数週間おきに何度も同じ場所が切れる慢性難治性の状態に陥っている。
受診する際の診療科の選択肢としては、患部の皮膚炎・真菌検査・外用治療を専門とする皮膚科、または口腔粘膜疾患や噛み合わせ・義歯の影響を精査できる歯科口腔外科が最適です。特に高齢者やマウスピース使用者で口角が切れやすい場合は、唾液が溜まりやすい歯列の不正や義歯の不適合が根本原因であるケースが多いため、歯科口腔外科での精査が根本治療への近道となります。