Osaka Metro堺筋線・千日前線の日本橋駅から地上へ出ると、堺筋から一本東へ入った通りには午前中から多国籍な歓声が響き渡っています。大阪市中央区日本橋1丁目・2丁目にまたがるキの字形のアーケード街に足を踏み入れると、目に飛び込んでくるのは英語・中国語・韓国語で書かれたポップと、店頭の鉄板から立ち上る香ばしい煙です。
現在、通りを行き交う歩行者の約8割以上が外国人観光客で占められており、店頭にはA5ランク黒毛和牛の串焼きや、手のひらほどもある特大タラバガニの脚、生ウニが山積みにされています。かつて夕方に近所の買い物客でごった返した風景は過去のものとなり、その場で調理してもらい食べ歩く、あるいは店先の簡易イートインスペースで楽しむ「ライブ型フードテーマパーク」の様相を呈しています。
特に目を引くのは、観光客向けに特化した店頭メニューの価格設定です。店頭で焼かれる和牛ステーキ串は1本3,000円〜5,000円、大ぶりの焼きタラバガニ脚は1本4,000円前後、特上ウニや大トロが盛られた海鮮丼は一杯5,000円〜8,000円超という設定も珍しくありません。円安の恩恵を受ける訪日ゲストにとっては「母国の一流レストランに比べれば破格のエンタメ」として飛ぶように売れている一方、日本人の一般的な金銭感覚からすれば強烈な違和感を覚える価格帯が並んでいるのが現場の偽らざる現状です。