中尾隆聖さんの名を語るうえで絶対に外せないもうひとつの代名詞が、『ドラゴンボールZ』『ドラゴンボール超』に登場する宇宙の帝王・フリーザです。
「ハヒフヘホ〜!」と叫ぶ愛嬌たっぷりのばいきんまんと、「私の戦闘力は53万です」「ボクに殺されるべきなんだ!」と冷徹に言い放つフリーザ。一見すると対極にあるキャラクターですが、中尾さんの卓越した演技論においては深い共通点を持っています。
中尾さんは過去のインタビューで、悪役を演じる際の美学として「悪役自身は自分が悪いことをしていると思っていない」「彼らなりの純粋な美学や目的がある」という点を一貫して強調しています。ばいきんまんは「アンパンマンを倒して自分の世界を作りたい」という純粋な欲望、フリーザは「宇宙の支配者としての絶対的なプライド」を持ち、どちらもどこか憎めないカリスマ性を放ちます。この徹底した役へのリスペクトこそが、世代を超えて愛される「名悪役」を生み出す原動力です。