「大事な接待で『個室確約』のコースを選んだのに、通されたのは隣の宴会のバカ騒ぎが丸聞こえのカーテン仕切り。相手の顔色がみるみる曇っていくのが分かり、冷汗が止まりませんでした」――都内IT企業で営業統括を務める40代男性は、当時の苦い記憶をそう吐露します。ネット上でも頻繁に炎上するこのトラブルですが、背景には業界特有の表示基準とユーザーの認識のズレがあります。
個室居酒屋と半個室の違いの真相を探ると、多くの予約サイトにおいて「壁や扉で四方が完全に塞がれている部屋」だけでなく、「アクリル板やすだれ、ロールスクリーンで区切られたボックス席」までもが、店舗側の裁量で「個室」カテゴリーに登録できる仕様になっている実態が浮かび上がります。法律上、飲食店内の個室構造を一律に規制する明確な定義は存在せず、消防法上の排煙・スプリンクラー設置基準を満たすために「あえて天井付近を30〜50cmほど開放している」構造も珍しくありません。
こうした設計上の事情を知らないまま予約を入れると、現地に到着して初めて「天井が開いていて隣のタバコの煙や大声が筒抜け」「通路側が透けるのれん1枚で、店員や他の客と何度も目が合う」という事態に直面します。個室居酒屋での接待が失敗しない理由を突き詰めれば、単に「個室」というワードを鵜呑みにせず、空間の密閉度を事前に物理的スペックとして把握しているかどうかに集約されます。