ディズニー映画の歴史を語る上で欠かせないのが、スティーブ・ジョブズらが創業に関わり、後にディズニーの完全子会社となったピクサー・アニメーション・スタジオの存在です。
1995年、世界初のフルCG長編映画として公開された『トイ・ストーリー』は、映画制作のあり方を根本から覆しました。単なる技術的ショウケースにとどまらず、「子どもが部屋を離れたとき、おもちゃたちは何をしているのか?」という普遍的なイマジネーションを、完璧な脚本術で描き切ったのです。
以降、ピクサーは『モンスターズ・インク』(2001年)、『ファインディング・ニモ』(2003年)、『Mr.インクレディブル』(2004年)とヒット作を連発します。ピクサー作品の最大の特徴は、子ども向けのユーモアの底に、大人の観客の胸を抉る重厚な心理的テーマを潜ませている点です。
たとえば『インサイド・ヘッド』(2015年)では、人間の感情の揺らぎと「悲しみ(カナシミ)という感情の必要性」を認知科学的アプローチで見事に可視化しました。さらに、家族の記憶と死生観をメキシコの祝祭を通じて描いた『リメンバー・ミー』(2017年)や、続編として記録的な興行収入を叩き出した『インサイド・ヘッド2』(2024年)に至るまで、大人の鑑賞に耐えうる高度な人間ドラマを提供し続けています。