タカラトミーが世に送り出した人生銀行は、単なる貯金箱の枠を超え、貯蓄に行動心理学的な楽しさを組み込んだ「元祖ゲーミフィケーション・トイ」として日本おもちゃ大賞など数々の賞を受賞しました。最盛期にはシリーズ累計で驚異的な出荷数を記録したものの、現在はすべてのシリーズで生産・公式販売が終了しています。
業界動向およびメーカーの製品サイクルを分析すると、販売終了に至った背景には明確な社会的要因が浮かび上がってきます。
最大の理由は、キャッシュレス決済の急速な普及に伴う小銭需要の激減です。2010年代半ばからキャッシュレス決済比率が急伸し、日常生活で500円硬貨を手にする機会そのものが大幅に減少しました。また、スマートフォンの普及によって液晶ゲームの役割がモバイルアプリへと移行したことも、物理的な電子知育トイの市場縮小に拍車をかけました。
しかし、2020年代半ば以降のレトロブームの中で、人生銀行の最新動向には新たな動きが見られます。「実体のある硬貨をチャリンと落とす手応え」や「モノクロ液晶の素朴なストーリー性」が見直され、平成カルチャーを愛好するZ世代やガジェットコレクターの間で再ブームが到来しています。