北淡震災記念公園の見どころは、野島断層保存館だけに留まりません。敷地内には複数の象徴的な震災遺構が点在しており、それぞれが異なる視点から地震の破壊力と再生への歩みを伝えています。
保存館を抜けた先にあるメモリアルハウス(断層のある家)は、活断層の真上に建っていた実在の民家を保存した驚愕の施設です。断層が庭を横切り、塀を押し曲げ、台所の真下を貫通したにもかかわらず、家屋自体は倒壊を免れました。屋内に入ると、当時のまま再現された台所があり、散乱した調味料や割れた食器、傾いた家具類が生々しく残されています。「あの日、激震の中で何が起きたのか」を、一市民の私的な生活空間を通して追体験させられるため、見学者の多くが言葉を失って立ち尽くします。
さらに屋外広場に佇む神戸の壁も見逃せません。この壁は、昭和2(1927)年頃に神戸市長田区の公設市場に延焼防止用として建てられた耐火壁です。第二次世界大戦末期の神戸大空襲で周囲が灰燼に帰した際にも焼け残り、阪神・淡路大震災による猛火にも耐え抜いた歴史的建造物です。震災復興事業に伴い解体される予定でしたが、防災と記憶の象徴としてこの淡路島の地に移設されました。空襲と震災という二重の大災難を生き延びたコンクリートの壁は、不屈の復興精神を無言のうちに物語っています。