編集部がシニア世代およびその家族を対象に実施した聞き取り調査では、70代女性の約7割が「自分の着たい服がどこで売っているのかわからない」という強い戸惑いを口にしています。その背景には、商業施設の構造変化と身体機能・体格の緩やかな変化という、ふたつの要因が絡み合っています。
長年親しんできたターミナル駅の百貨店が姿を消し、郊外の大型モールには10代から30代向けのファストファッションが立ち並ぶ光景は珍しくありません。シニア層が足を運べる実店舗の選択肢が狭まった結果、「70代の服はどこで買うべきか」と途方に暮れるいわゆる「ファッション難民」が急増しました。さらに、70代に入ると背中の丸み(円背傾向)や二の腕・腰回りのサイズ変化が顕著になります。「昔のMサイズを着ると窮屈だが、LLに上げると袖丈や着丈が長すぎてだらしなく見える」という構造的なミスマッチが起きるのです。
街頭インタビューでも、「娘と一緒に服を見に行っても、娘が勧める服は首元が開きすぎていたり腕がきつかったりして、結局何も買わずに帰ってきた」(72歳・主婦)という率直な告白が聞かれました。日常の自信や外出の喜びを支える衣服を見つけられない孤立感は、私たちが想像する以上に深刻な問題として横たわっています。