逆先夏目の経歴を語る上で避けて通れないのが、夢ノ咲学院の旧体制時代に君臨した「五奇人」としての過去です。朔間零、日々樹渉、深海奏汰、斎宮宗という圧倒的な才能を持つ先輩たちの中に、当時1年生だった夏目は「末っ子」として迎え入れられました。
天祥院英智らによる「革命」の標的となり、学院全体の不満を一身に集める悪役として次々に舞台上で断罪されていった奇人たち。しかし、兄貴分である4人は、未来ある夏目だけはスケープゴートの炎に巻き込むまいと固く決意し、彼を処刑の連鎖から徹底して庇い立てしました。
この配慮こそが、夏目の心に癒えない傷を残すことになります。自分だけが無傷で生き残ってしまったという強烈なサバイバーズ・ギルト(生残者罪悪感)は、彼の行動原理を長らく支配することになりました。「自分も一緒に戦い、傷つきたかった」という慟哭は、後述する青葉つむぎへの複雑な感情へと直結していきます。